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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第030号       ’00−02−04★

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     言語的技法ゆえ

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●クリントン大統領夫人

 

ヒラリー女史が、CBSのインタビューに「きのう我々は意思決定を下した」と

にこやかに答えている。 何かと思ったら、次の上院議員選挙に出馬するために

引っ越した、ニューヨーク州の新居へ運び込んだ家具類の配置のことでした。

 

たしかに表現は we made the decision、、でしたが、状況にふさわしい翻訳

は、多分、ただ「決めましたのよ」というところ。

 

 

アポロ13号で全く予想外のトラブルが発生し、その緊急事態が伝えられた時、

ヒューストン管制センターを率いていたのは若きジーン・クランツでした。

 

その状況をざっと聴き取って、彼はおもむろに立ち上がり、「情報を集めよう、

and let's solve the problem! 」と宣言しました。 「、、 そして問題を

解決しよう!」とね。 これも、気分的に陽気であったはずはありませんが、

「さあ、片付けようぜ!」の心意気ではあるな、と私には見えました。

 

*   *

 

かなり有名な逸話だが、と前置きして、渡部昇一教授が「文科の時代」の中で

紹介しておられる、「戦前のドイツに留学した日本の哲学者が驚いた」話。

 

「小学校しか出ていない下宿のおばさんでもカントの術語を使う。さすがドイツ

は哲学の国だ」というのですが、何のことは無い。 日常的な、たとえば「バカ

なことしなさんな」も、ドイツ語の科白を直訳すれば、「汝、理性的であれ」。

 

「理性」は、不思議も無く、カントの著書に使われている単語と同じ。 それを

<術語>として脳裏に刻んでいた哲学者さん、自分が勉強で苦労した時の記憶と

無意識的にオーバーラップさせてしまい、スゴイ! と感じたのでしょう。

 

*   *   *

 

どれも、アチラ語では<術語>と<日常用語>の境目が無いらしい、という例。

 

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Rational Process の

 

Rational 、学校英語では習った記憶がありませんが、アメリカ映画などでは、

議論や説得の場面で珍しくもなく出ます。 辞書では「合理的」、「理性的」

といったカタイ、ややツメタイ感じの形容詞に置き換えられますが、現実には

「筋の通った」や、簡単に「ちゃんとした」くらいの語感で用いられます。

 

 

だから Rational Process も、論理的意思決定の技法だ、合理的問題解決の

思考法だ、など殊更むずかしそうに構える必要は無いだろう、と思います。

 

しかし、お代を頂く印刷物にするとなると、状況分析、問題分析、決定分析、

四文字熟語風にしないとサマになりにくい、、ようです。 たとえば、実体は

「どんな問題があるのか、どれから手を下すか、どう処理するか」であっても、

ひと口に「状況分析」と言った方が遙かにシマリが良い。 いかにも<術語>

らしく感じられる、、、でしょう。   お互いの精神衛生のため、かも。

 

*   *

 

それがひっくり返って、術語を口にしていると自分が勉強家らしく思えてくる

のか、あるいは、そう振る舞うと相手が恐れ入ると思うのか、日常的にも何か

むずかしそうな言葉遣いをする人、、、 お近くにいませんか? 

 

古い知り合いですが、ただ「分からない」と言えば済むのに、わざわざ「理解

に苦しむ」なんて言うクセのある男がいましてね。 中身の乏しさをシカツメ

らしさで補っているんだ、と私は嗤っていたのですが、騙される人もいるわけ。

やがて彼はシャチョーになり、いまだに務まっておりますよ。

 

「大切なのはビジョンと意欲」、の生き証人みたいな奴、、、ですな。

 

*   *   *

 

「騙される」は言い過ぎかも知れませんね。 前記「ひっくり返って」のまた

反対側、とでも見るべきか、難しそうなことを言う人なら何か知っているはず、

あるいは出来るはず、と思いこむ心理もある、、、ようです。 

 

何だかよく分からない、けれども、何となくソンケーする(らしい)。 逆に、

口語体のコナレタ表現ではナメられる、、、と思うのか、研修講師の中にも、

イカメシイ表現を愛用、多用する人がいます。 防衛本能か、ハッタリか?!

 

技法用語で説明すると、馴染みの無さゆえでしょう、「話が分かりにくい」と

言われる。 砕いて説明すれば、アタリマエに思えるらしく、「自分のやり方

と何も変わらない」と言う(が、実技に入るとまるでダメだったり)、、、

 

受講者すべてに満足を提供する、なんてこと、私は早々に断念しました。

 

*   *   *   *

 

技法の解説に<ことば>は不可欠ですが、それが<日本語>だから厄介なので

しょうね、きっと。 たとえば、英語なら<I>だけ。 同じことを言うにも

日本語だと私、俺、僕、わたくし、アタシ、わし、オイラ、自分、小生、etc.

状況に応じて千変万化。 それをどう選ぶかに、<その人>がにじみ出ます。

 

問題解決の世界でも同様です。 内輪の議論なら職場方言も混じえてズバリと

行けるが、会議での発言・発表となると格調も配慮も必要、ドギツクさは禁物、

というところは洋の東西を問うまいが、我が国は格別形式的お行儀優先の社会。

 

衣食住における日本人の<和洋>二重生活はほとんど消滅したけれど、敬語や

謙譲語、書き言葉と話し言葉、<口語・文語>、といった<ことば>の二重性

は、いわば日本語の特質ですから、まあ今後も解消されることは無いでしょう。

 

なのに学校の漢文や古文の授業は減っているそうで、事実、漢字多用の文章は

好まれない。 それどころか、漢字が読めない。 <いい年>の人でも、ね。

某生保会社の、それも何と教育課長、40代の男性でしたが、「最も」を何と

「サモ」と発音なさる。 何を言っているのか、<理解に苦しみ>ましたよ。

 

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●Rational Process

 

は、要するに<考え>をまとめるための技法です。 そして人間は、<言葉>

を綴り合わせながら考える。 だから Rational Process を駆使するにも、

<言葉>の能力が必要です。 しかも日本語の場合、<業務用>は必ずしも

口語体ではないから、少々勉強が必要。 あなたは、、、なさいましたか?

 

 

<その種の勉強>の最も(モットモですぞ)基本的な方法は<綴り方>、即ち

作文です。 あなたの記憶にある最後の<綴り方>の授業はいつでしたか?

 

受験科目としての小論文、あれのための<授業>というのはあるのかな? 私

の受験生時代には無かった科目なので、、、だから、<綴り方>は小学校まで。

 

ところが、木下是雄先生の名著「理科系の作文技術」(中公新書624)には、

アメリカの大学では工科系といえども<その種の勉強>が一般教養課程で必修

とされている、とあります。 また、この本はその講座に近い内容、その分野

の参考書が我が国には無いに近い、とも。 もし未だお持ちでなければ、是非

おもとめになることをお奨めする1冊です。

 

リーダーたる者、まず<日本語能力>において衆にぬきんでていなくては、ね。

 

*   *

 

言いたいのは、日本語が日本語である上に教育が(第26号に書いたように)

歴史的にダメ。 そんな言語的環境では、Rational Process の理屈が分かった

としても、それを使いこなすには困難があろう、ということ。

 

   そこで毎度のCM: 「おたすけマン」は、そのためのサービスです!

 

*   *   *

 

先頃TVで大前研一氏が指摘しておられましたが、マンガの影響と言うべく、

長い文章を受け付けない人が増えている。 <吹き出し>の中に収まるだけの

文字数しか読めない。 だから、考える力もスッカリ落ちた、、、と。

 

あなたが率いていらっしゃるメンバーは、その点、どうですか?

 

しかし、問題解決の世界は常にナニガナニシテナントヤラ。 あまり手短かに

は行かないものです。 <吹き出し>レベルの断片を、どう綴り合わせるか?

 

普通はそこで、ちょっと行き詰まる。 が、 Rational Process は平気です。

ワーク・シートのそれぞれの欄に収めるべき情報は、手短かで良いからです。

だいたい「欄」自体が、それほど大きくはありませんからね。

 

ウェブ・サイト<おたすけマン>の<お手伝いの方法>の頁で、手短かに質問

します、手短かに答えて頂きます、としている理由でもあります。

 

敢えて言えばこれは、マンガ世代をリードする上でも役に立つ技法、ですな。

                             ■竹島元一■

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